腐女子化する世界/杉浦由美子

 腐女子が密かに増殖しているという。一時流行った「負け犬」などという枠組みを超えて生じてしまった女性間の格差の中で存在する腐女子の実態を、書籍や雑誌記事からの抽出と取材により浮かび上がらせた本。いわゆるフェミニストの論客の言説を批判的に敷衍する様は見事で快哉を叫びたくなった。著者の編集能力に、ワタクシは敬服する次第である。
 異性に妄想することの多い「オタク」に比べ、やおいを喜ぶ「腐女子」の方が非生産的であるように感じられるのは、ワタクシが年金の本を読んだ後だからかも知れません。