人間は遺伝か環境か?/日高敏隆

「氏より育ち」と巷間囁かれるが、実際のところはどうなのだろう。著者は「遺伝的プログラムの具体化」という概念により、それを説明している。即ち、昆虫のように成長過程が厳密に定められている生物もあれば、ヒトのように具体化にかなりの幅がある生物もいる、と。意図的にプログラムを作ったり再構築することはできないし、人によってプログラムの良し悪しがあるわけでもないが、具体化するにあたっては大変多様である。「人生とは遺伝的プログラムの具体化なのだ」(本書P.137)というまとめが納得できるワタクシでした。