道路の経済学/松下史洋

道路の経済学 (講談社現代新書)

道路の経済学 (講談社現代新書)

 かつて小泉内閣が取り組んだ道路公団改革は結局単なる看板の掛け替えという不十分なままで終わってしまい、将来に禍根を残す幕切れだった。高すぎる通行料金、管理費用など経済性を度外視し環境への影響も考慮せず住民の関与も拒む道路計画作りの問題点を指摘するに留まらず、よりマクロ的視点から都市・交通施策のあり方や「民営化」の理念までをも説いている。地方の高速道路では、前後に全く車影を見ずに長時間走り続けることもしばしばである。その一方で、週末の都市近郊では「拘束道路」化してしまうこともあり、まことに道路政策の困難性と不合理性を感じることは多い。どうかより良い方向でのモーダルシフトを実現したいものである。