釈迦に説法/玄侑宗久

釈迦に説法 (新潮新書)

釈迦に説法 (新潮新書)

 臨済宗僧侶であり小説家でもある著者の随筆集。主に人生について宗教的思想を織り交ぜながら語っている。特定の宗派宗門にこだわらないばかりか、キリスト教イスラム教の教えすら取り込んだ論理展開は、ある意味「日本的」であるようだ。
「不安が嫌なら、安心すればいい」(本書P.179)――著者自ら「いかにも乱暴な禅の考え方」だという。この命題、しかしワタクシのような浅学非才の身にも(本書を読み終えた後には)「そうなのか」と思わせる真理を宿しているように感じられた。