だれにでも「いい顔」をしてしまう人/加藤諦三

「嫌われるのが怖い人は、自分を守るための心の砦がない」(本書P.4) 人生が行き詰まる(息詰まる)、そんな生き方に何故なってしまうのか。そしてどうしたら脱却することができるのかを考察した一冊。原因は幼少期からの愛情飢餓感にあると、本書では繰り返し述べられているが、やや一面的に過ぎる印象を受ける。また、「ひとりぼっちになる覚悟が幸せになる秘訣である」(本書P.193)等々、八方美人をやめて嫌われてもいいと思うような人が幸せになれるとも説いている。しかしそれができないから辛い思いもするのだろう。そのあたり、堂々巡りとなってしまい、実践面ではもの足りなさを感じた。
 とはいえ、著者の初期の作品には青春期の悩みを共有した思い出もある。実家に帰ったらもう一度読んでみようかなぁ。