メディア・バイアス/松永和紀

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)

 巷に溢れる健康情報。「○○は健康に良い/悪い」という両面の情報がテレビ・ラジオ・新聞・雑誌などマスメディアを賑わせている。だがそれらは妥当性をもつものなのか。仮説を事実としたり、一部の特殊事例を普遍的なものとして取り上げたり、科学的根拠のない風説をさも科学的であるかのように装って見せたり…。かつて新聞記者であった著者はその経験もふまえて多数の事例を取り上げ、「食の安全」「健康情報」の裏側をいかに読み取るべきか、その心構えを示してくれている。「情報の受け手は、建前の議論と報道の陰にある科学的な本質を見て判断しなければならない」(本書P.237)とのまとめに深く賛同したい。
 情報の信頼性をいかに担保するかが発信側の責務であることを認識してもらいたいものである。もちろん情報を鵜呑みにする大衆の側にも、情報の本質的な意図(政治的・経済的なものも含めて)を理解し読み取る能力が求められている。日々是勉強、である。

著者のサイト http://www.wakilab.org/