ネット時代の反論術/仲正昌樹

ネット時代の反論術 (文春新書)

ネット時代の反論術 (文春新書)

 かつて文壇・論壇の論争は一定の枠組みの中、良識ある知識人の間で時間的ゆとりを持って展開されてきた。しかし今、ネット隆盛の時代にあってはそのような前提条件を一切無視し、突然論争がわき起こったりする。しかも議論の内容が全くかみ合わなかったり、相手の人格を貶めるだけの内容だったりすることもしばしばである。自らも議論・論争の渦中に嵌った経験のある著者が、論争の「目的」に応じて心構えを説いた一冊である。論争の観客に見せるためなのか、まともな議論なのか、自らの評価が下がることを厭わずに相手の人格を攻撃するためなのか、はたまた議論がすれ違っている場合……そんな時の対処法を多少皮肉も交えつつ紹介している。
 ワタクシもかつてネット上で「炎上」に関わってしまったことがある。本書を読んで「なるほど、ワタクシの対応は間違っていなかった」と膝を打ったものだが、本書には(その時のワタクシの対応への)返し技についても記述がありました。むむむ、なるほどねぇ。