進化しすぎた脳/池谷裕二

 大脳生理学者の著者が高校生を相手に「脳」に関する知見を講義した内容をもとにとりまとめられた一冊。脳は体を制御しているが、体もまた脳の機能を制限している。言葉によって抽象化の概念がもたらされ、さらには『心』も生み出されたという。記憶と意識、脳神経の情報伝達法からアルツハイマー病まで、最新の論文も踏まえて紹介されている。脳の能力の全てを使い切っているわけではない、その証左の一つが『火事場の馬鹿力』だという件などはよくわかったが、なにぶん約400頁に及ぶ(新書としては)大作で、電車内での短時間読書では十分な理解が得られませんでした。学習には環境が大切なようで。