牛丼一杯の儲けは9円/坂口孝則

 利益を拡大するには売上を伸ばすという方法だけではない。仕入こそが重要なのだ。普段あまり顧みられることのない「仕入」について、現役バイヤーである著者が裏話も多数交えて語る一冊。安く買って高く売る、これが商売の基本であるが、本書では安く仕入れるための具体的な話ばかりでなく、安く仕入れることの社会的意義までも唱えることにより、経済的合理性を正当化してくれる。紹介されている挿話についても、実際の取引現場ではもっと厳しいやりとりがなされているであろうことは想像がつく。利益のために影で流される汗と涙にしばし思いを馳せたのでした。