満員電車がなくなる日/阿部等

 通勤・通学客で日々満員となっている鉄道。著者は大胆な設備・車輌改良と運賃制度の見直しによりこれを解消できると提唱している。ワタクシは専門家ではないのでよくわからないが、保安施設の改善はともかくとして、既存の鉄道に「全2階建て車輌の運行」「3線化」「リニアの導入」はどれほど現実的な選択肢としてあり得るのか。あまりにも荒唐無稽な夢物語のように思えてならない。もっとも、定期客(特に通学において)を優遇しすぎているという指摘はそのとおりだと思うし、IC乗車券を活用した「着席料金」の徴収などは優れた名案だと思う。行政の土地無策・交通無策を今さら嘆いても仕方がないが、「環境に優しい」という追い風が吹いている今こそ、鉄道復権の最後の機会なのかもしれない。著者の提案の少しでも実現されんことを願うのみである。