美しい都市・醜い都市/五十嵐太郎

美しい都市・醜い都市―現代景観論 (中公新書ラクレ)

美しい都市・醜い都市―現代景観論 (中公新書ラクレ)

 東京・日本橋首都高速橋脚、街に溢れる色とりどりの広告・貼り紙、無造作に続けられる開発…景観を乱す要素は数限りない。その一方で美しい町並み作りを目指し協議の場を作り、合意の上で新たな街作りを行うところも出てきている。『美』『醜』には絶対的な基準があるわけではなく、具体的に何を『美』『醜』とするかはすぐれて個人の価値判断であろう。市民の活動と共に街が秩序を失い混沌としていくのはエントロピー増大の法則からも頷けるところであり、それを強健で押さえ込もうとすると(本書では皮肉を込めて?「ユートピア」と呼ぶ)かの将軍様の国の首都のようになってしまう。生々流転。都市もまた生き物なのだろう。
 でも、ある日突然我が家の隣に赤白縞模様の家が建ったら――ちょっとひくかもしれないなぁ。