なんのための日本語/加藤秀俊

なんのための日本語 (中公新書 (1768))

なんのための日本語 (中公新書 (1768))

 国語と日本語、はなしことばと文字ことば、表記など、日本語を使う者の視点に立って書かれた日本語論である。「通じることが第一である」と考える著者の論旨は明快だ。学校で習う国語の授業は「国文学教育」偏重であるとして言語教育と文学教育との混同がもたらす弊害を指摘する件など、(著者の漢字の使用基準以外については)大いに賛同できるものである。
 一国の首相たる人物が原稿の読みまちがいを頻発し失笑を浴びせられる状況下では、国民全員が「日本語教育」をきっちりと受け直す必要があるのかもしれない。そんな風にまで思うのでした。