戦争遺産探訪日本編/竹内正浩

戦争遺産探訪 日本編 (文春新書)

戦争遺産探訪 日本編 (文春新書)

 明治から昭和期にかけての軍事施設の残骸が日本国内にも多数残っている。そうした「遺産」を実地踏査した著者による報告集である。戦争礼讃でなく、はたまた戦争否定でなく、著者は自らの興味の赴くままを綴っているが、著者(そしてワタクシ)の世代は戦争の「評価」を避けて通るきらいがあるように思う。
 小学生の頃、防空壕の跡地を探検した。不発弾の処理のため近隣が立ち入り禁止になった。そういう経験を持つ人すら少なくなっていく今、こうした遺構はきちんと来歴を整理して後世に遺していきたいものである。