立食いソバ1杯が1000円になる日/門倉貴史

立食いソバ1杯が1000円になる日 (宝島社新書 272)

立食いソバ1杯が1000円になる日 (宝島社新書 272)

 安価で美味しく品質の良い食料が容易に入手できる――そんな時代は終わりを告げようとしている。中国産冷凍餃子から高濃度の農薬が検出された事件を大きな契機として、「食の安全」に関する国民の意識は変化してきた。しかし、自給率が4割を切る現状において、質よりも量の確保の方がよほど危機に瀕していることを知る者は少ない。本書では主に中国における海・農・畜産物、穀類、加工食品等の需給状況や輸出入を取り巻く情勢を取り上げ、日本の食料確保の急所を指摘する。著者の記述は徒に扇情的でない事実の積み上げが多く、わかりやすく説得力を持っている(一部数字の使い方が中途半端である部分はあるが…。例:P162 原油価格)。最終章の、景気後退の局面において多くの国民を襲う食品値上げの波については紙幅も少ないが、これだけで1冊の本になるだけの内容はあるだろう。
 我が家にある食品群も、国産品はどれだけあることやら。