ほめるな/伊藤進

ほめるな (講談社現代新書)

ほめるな (講談社現代新書)

教育の根本目的は自立の支援である。「ほめる教育」は間違っている――著者は厳しくそう指弾する。

無闇矢鱈に誉めまくり、おだてた挙げ句につけあがられ、自己中心的人間に育ってしまった輩も大勢いるだろう。かく言うワタクシは叱られることが多かったので、誉められようと(当時の自分なりに)頑張ったように記憶している。しかし、だからといってワタクシが自立した立派な人物になれたかというと甚だ疑問である。
教育をする側から言えば、ほめる方が簡単だし、敵対心を持たれることもなく安定した関係を築けそうだし……ということで、現状があるのかもしれない。
著者の言う「心からほめることまで否定しているのではない」という件(くだり)はよくわからない。少なくとも、ほめられる側からは区別がつかない。それが本書の弱いところではなかろうか。