なぜ正直者は得をするのか／藤井聡

なぜ正直者は得をするのか―「損」と「得」のジレンマ (幻冬舎新書)

「構造改革」「グローバリゼーション」を口実に、利己主義者が跋扈する現代日本社会。『正直者が馬鹿を見る』という古くからの言い回しがピタリと当てはまるように感じられる昨今だが、著者によれば利己主義者は最後に必ず負けるのだという。そして、日本社会がこれ以上没落・荒廃していかぬように、共助の気構えを強く持ち、そのための構造作りが必要であると主張している。
思いやりと助け合いの精神に満ち溢れた社会は（多少窮屈ではあっても）確かに居心地の良いものだろう。理想と現実の狭間に立って軌道修正をするには、今という時代が最後の機会なのかもしれない。

とはいえ、「利己主義者は最後に負ける」＝「正直者は最後に勝つ」という等式が成り立たないところに大きな落とし穴があるわけだが・・・・。