鴻巣友季子「明治大正翻訳ワンダーランド」新潮社新書(2005年) ISBN:4106101386

 今も昔も大方の人が外国語の小説を楽しむには翻訳家の存在が欠かせない。明治大正期に欧米文学を翻訳した14人の文人に光を当て、翻訳が如何になされ如何に認知されてきたかを追究した本。著者も数々の翻訳を手がけているそうで、同業者の大先輩のことを尊敬と憧憬と少しの批判を持って描き出している。
 学術書と異なり外国の文芸作品の評価は訳者の文才にも大きく左右されてしまう。原書にあたることのできないワタクシにとっては、今も翻訳の世界は「ワンダーランド」なのかもしれません。