遠藤公男「野鳥売買メジロたちの悲劇」講談社+α新書(2002年) ISBN:4062721635

 本来は自由に空を羽ばたいているはずの野鳥が「籠の鳥」にされている。しかも、中国で捕獲されたと偽って……。香港、中国本土に存在する野鳥市場と、それを悪用している日本国内の「愛鳥家」、密猟者たち。また、彼らと全力で闘っている人々の姿を突撃取材(著者自身が自らをドン・キホーテになぞらえている)に基づいて明らかにしている。
 野鳥に対する保護が少しずつでも広がっていくことは喜ばしい。しかし、インコなど最初から飼育することを目的に増殖させられている鳥たちについては、著者も何も語っていない。「籠の鳥」の辛さは一緒だと思うのだけれど、さて。