長山靖生「『人間嫌い』の言い分」光文社新書(2004年) ISBN:4334032737

 「人間嫌い」とはいささか刺激的な題名だが、要は自己の信念をしっかり持って周囲に迎合せず、確固たる生き方をする人のことであると著者はいう。そして、集団内の人間関係に依存し安住してしまう「つるみ系」が世に跋扈しているのを憂い嘆いている。友達づきあい、結婚生活、そして晩年に至るまでの人生の諸様相において、文学を紐解きつつ「人間嫌い」こそが社会全体の幸福につながっていくことを示し、読者にも一考を迫っている。
 人間関係の煩わしさに心を痛める人には一読の価値あり、の一冊でしょう。もっとも「人間嫌い」を公言できる人ならば、その程度のことには悩まないか(苦笑)。