企業再生ファンド/和田勉

企業再生ファンド (光文社新書)

企業再生ファンド (光文社新書)

 不良債権処理と企業再生。バブル経済崩壊のツケを払い続ける日本経済において今なお重要課題であるこれらの事象について、経済記者を長らく務めた著者が筆鋒鋭くレポートした本。外資の参入により不良債権市場が成立し、その進化に伴って単なる債務処理から企業再生へと態様が変化していく様は、市井の人にはなかなか伺い知ることのできないものである。「不良債権処理の過程で外資が大儲けをした」という話については、著者によると外資の儲けは長続きしなかったという。不良債権処理に消極的な銀行経営陣の姿勢に厳しい視線を向ける一方で、RCCを評価する視点はとても興味深いものであった。
 不良債権ビジネスを活性化することで、その処理も加速される。それを妨げる政府や銀行の動きに対し、国民はもっと目を向けるべきであろう。小泉内閣の元で作られ先頃その役割を終えた産業再生機構への評価はいかなるものだったのか、著者による続編執筆が待たれる。