牡蠣礼讃/畠山重篤

牡蠣礼讃 (文春新書)

牡蠣礼讃 (文春新書)

 日本と世界の牡蠣養殖。その歴史と現状を、現役で養殖業を営む著者が思い入れたっぷりに描き出した一冊。Rのつかない月でも牡蠣の種類によってはとても美味しいとか、日本産の牡蠣がフランスやカナダで養殖されているとか、蛎殻が日本の伝統工芸にも重用されているとか、知られざる牡蠣情報がいっぱいである。森や川の環境を守ることが海洋資源にも重要だという「森は海の恋人運動」を著者は推進しており、そのことが本書にも通奏低音のように響いている。
 ノロウィルスの影響もあってか生食用の牡蠣にはやや手が伸びづらいが、それでも美味しい牡蠣を食べたくなりました。