1995年から10年間、
ソニーの経営トップにいた著者の
回顧録。入社から取締役、そしてCEOへと上り詰めていく過程で、著者ならではの数々の判断を下してきた。短期的な成功と失敗が長期的なそれと必ずしも連動しないということはよくあることだが、著者は迷いながらも自ら下した決断に(殆ど)後悔していない。その時点での最善を尽くしたと思えるからだろう。創業者経営からプロフェッショナルによる経営へと、会社の大きな変革期を乗り越えた自信が行間から滲み出ている。S社の商品に関してはワタクシは購入しないことにしているが、著者の姿勢にはいろいろと得るものがあった。
とても読みやすい文章でほぼ1日で読了した。本書に限らず、
新潮新書の編集者の技術と力量が窺われる。