京都人は日本一薄情か/倉部きよたか

京都人は日本一薄情か 落第小僧の京都案内

京都人は日本一薄情か 落第小僧の京都案内

 京都の街歩き指南書だが、単なる案内本にとどまらない。著者は15歳から2年間、寺で小僧として修行をした経験があり、そのときのさまざまな思いと共に、移りゆく街並みや人々の暮らしを活写している。大阪出身という出自と京都での体験という内外両方の視点を持つ著者ならではの批判的愛情が随所に滲み出ており、読者もいつしか著者に近い視点から京都を見つめることができるようになる。必要十分な地図が各章にあり、多くはないが写真も効果的に添えられている。居ながらにして街並みの散策ができる好著でした。