悪魔の発明と大衆操作/原克

悪魔の発明と大衆操作 ―メディア全体主義の誕生 (集英社新書)

悪魔の発明と大衆操作 ―メディア全体主義の誕生 (集英社新書)

 テレビ、パンチカード、火葬炉、ラジオ――主にナチス政権下のドイツを中心に、当時の日本と比較しながらこれらの発明の実用化と全体主義の進展に係る連関性をたどった一冊。技術の改良は純粋にハードウェアの問題ではなく時代(というより統治機構)の要請に従うものであることや、メディア操作による情報と国民意識の管理を当時の独政府がどれほど重視していたかが明らかにされる。また、一人の独立した存在であったはずの人間が「大衆」として一括りにされていく過程には、今日に続く人権上の大きな問題をはらんでいるといえよう。