世界のイスラーム建築/深見奈虬子

世界のイスラーム建築 (講談社現代新書)

世界のイスラーム建築 (講談社現代新書)

 7世紀に成立したイスラム教はアラビア半島を出て北アフリカからスペイン、またアナトリアからペルシャ中央アジア、インドへと伝播し、その過程で礼拝堂や廟など数多くの宗教建造物を遺している。本書ではその伝播の拡がりが土着の習俗や建築法と融合し、新たな様式を形成していく様を多数の写真や図版とともに紹介している。ワタクシもトルコにおける「ブルーモスク」の荘厳さ・華麗さに圧倒されたことを思い出した。
 惜しむらくは写真が白黒であること。あの色彩感・空気感は現地を訪れた者だけのものだろうが、それだけに見ることのできない遙かな地への想像がかき立てられて止まない。