天文学者はロマンティストか?/縣秀彦

 天文学者っていったい何をしているんだろう――そんな疑問に答えてくれる一冊。著者は国立天文台の研究者の一人で、日本の現役天文学者の活躍、過去の著名な学者の業績、今日の天文学の話題、さらには天文学と社会との関わりなどを重層的に紹介してくれる。「楽しんで宇宙とつき合いたいのでしたら、天文学者にはならず、天文アマチュアや天文ファンとして宇宙と接していったほうが幸せなのかもしれません」(本書P.188)とあるが、確かに理論天文学を研究しディスプレイとにらめっこしているのは(あまり)楽しそうには思えない。何ごとも仕事にしてしまうと苦労もあるものだけれど…。星空を見上げ過去の光芒に思いを馳せる、そんな余裕をなくしたくはないものだ。