鉄道の峠/今尾恵介

地図で歩く鉄道の峠

地図で歩く鉄道の峠

 鉄道の難所となる「峠」。古道を巡り、鉄道がどのようにして克服したかを綴った紀行文が前半である。これが全てなら読み応えもあったのだが、後半は地図による状況紹介に留まっており、臨場感は薄れてしまう。その地を実際に訪れた経験のある者には懐かしく思い出されるものの、書物としての魅力には欠けると思う。


 1997年の初版から13年。3刷において脚注が加えられ、その間の鉄道の凋落ぶりや無粋な町村合併の進行という荒廃も行間から読み取ることができた。